どうも、娘が女子高生(17)の僕です。
先日、娘が通っている通信制高校から衝撃的なお知らせがありました。
【重要】JRの規則改正に伴う通学定期券等の発行停止について
皆さまにおかれましては、本年度、本校教育活動へのご理解ご協力を賜り有難うございました。
さて、標記の件につきまして、JR東日本から下記の内容で通知がありました。
通学定期券等の利用が縮小される見込みですので、今後の対応についてご確認いただきますようお願い申し上げます。
2025年4月1日以降、学習センターへ通うための通学定期券等は発行しない。
現在使用している、学習センターへ通うための通学定期券等は、3月31日までは使用できるが、4月以降は使用できない。利用予定がなくなった時点で速やかに払い戻しをしてください。
要約すると、
4月から通学定期は使えないよ!
ってことです。
4月からと言うと、もう残り1ヶ月もありません。 これは随分と唐突な通知です。
しかも、既に購入している分も4月から使えなくなるから払い戻ししろとのこと…。
いや、乱暴すぎませんか?
通信制高校と言っても、うちの娘は(ほぼ)毎日通学をしています。 学習センターという呼び方ではありますが、娘からすれば他の子のように高校に通っているのと変わりません。
通信制高校に通う子どもを持つ親として、これは大問題ですよ。
ひとつはもちろん経済的な話。 娘の場合、通学定期は約7000円ですが、通学定期が使えないとなると通勤定期を購入することになります。
しかし、通勤定期の価格は14000円を超えており、通学定期の2倍以上の価格です。
これはかなりの負担増ですよ!
もうひとつは感情的な話として、通信制高校を差別するかのようなこの対応には納得感がありません。
通信制高校に通う子ども達には様々な理由があります。
事情あって普通の高校に通うことはできないけど、それでもなんとか毎日学校に通う習慣をつけるために通学を伴う通信制高校を選択している子もいます。
まして世間では私立を含めた高校無償化の話が話題になっているわけですが、なぜ通信制高校だけこんな時代に逆行したような対応がなされるのでしょうか?
そんなわけでJRに問い合わせてみることにしました。
JR東日本に問い合わせてみた結果…原因は文部科学省の法令改正にあり?国のせいなの?
さて、JR東日本のお客様センターに問い合わせたところ、丁寧な回答をいただきました。
長いですが、いったんほぼ全文をコピペします。 あとで端的に読み解くので、いったんは読み飛ばしても大丈夫です。
いつもJR東日本ならびにJR東日本ホームページをご利用いただきましてありがとうございます。
弊社では、学校教育法に定める学校等のうち、一定の基準を満たすものを「指定学校」として指定し、これらの学校の学生・生徒等が自宅最寄り駅と学校最寄り駅を通学する場合に対し、通学定期券を発売しています。 (これらのお取り扱いは、弊社の「旅客営業規則」のほか、「学校及び救護施設指定取扱規則」(以下「学校規則」と言います)に定めております。)
①学校教育法第1条に規定する学校(ただし、通信教育を行う学校の通信教育部は、当社の指定が必要)
②上記以外の国公立の学校(その他の教育施設を含む)であって、当社の指定を受けた学校
③学校教育法第124条(専修学校)及び同第134条(各種学校)の規定による学校であって、指定を受けた学校 等
なお、これらの指定学校等における学生、生徒等の学校内における活動の中でも、その学校を卒業するために必要な指導等を受けるための施設等に通所する場合には、それらの施設を学校に準ずるものとしてお取り扱いしており、それ以外の施設に通所する場合には、通学定期券の発売対象とはしておりません。
このため、高等学校の通信制の課程にあっては、「高等学校通信教育規程(昭和37年文部省令第32号、以下「通信教育規程」といいます。)」第2条に基づく「面接指導」を行う施設の最寄り駅までの間も通学定期券の発売対象としております。
しかしながら、2022年(令和4年)4月1日に文部科学省が法令改正を実施し、「通信教育規程」第3条において、「卒業に必要な面接指導又は試験等」を行う「面接指導等実施施設」と、それらが実施されていない「学習等支援施設」が分類されたことから、当社でも法令に合わせ、弊社の「学校規則」を改正することとし、結果として、2025年4月1日からは卒業に必要な面接指導又は試験等を行う「面接指導等実施施設」のみを通学定期券等の発売対象とさせていただきました。
昨今、教育の多様化により、語学学校や塾など様々な教育施設があり、また、上記の指定学校においても多様な教育内容を実施されていることは弊社としても承知しております。
一方で、通学定期券に対する割引は、他の一般のお客さまのご負担により成り立っているものであることから、その対象については一定の公平性を確保した基準が必要であり、そのため当社が一つ一つの教育施設の教育内容等について審査するのは、公平性の確保や審査能力の点から適当ではないと考えており、「学校教育法」や「通信教育規程」など、国の法令等を基準として判断をさせていただいております。
何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
今後も、みなさまに愛され、親しまれるJR東日本をめざしてまいりますので、引き続きご愛顧賜りますようよろしくお願い申し上げます。
随分と長文です。
最初の重要な部分を抜粋すると…
2022年(令和4年)4月1日に文部科学省が法令改正を実施し、「通信教育規程」第3条において、「卒業に必要な面接指導又は試験等」を行う「面接指導等実施施設」と、それらが実施されていない「学習等支援施設」が分類されたことから、当社でも法令に合わせ、弊社の「学校規則」を改正することとし、結果として、2025年4月1日からは卒業に必要な面接指導又は試験等を行う「面接指導等実施施設」のみを通学定期券等の発売対象とさせていただきました。
と、あります。
つまり、文部科学省が法令改正をして、通信教育における卒業に必要な面接指導や試験を行う施設と、それ以外の学習支援施設に分類したということのようです。
それに合わせて、JRは「学習等支援施設」への通学定期発行はしないことにしたそうです。
これは一体どういうことなのでしょうか?
通信教育規程の改訂で分類された「面接指導等実施施設」と「学習等支援施設」の違いとは?
うちの娘の高校の場合、大きく2種類の施設があります。
- 本校舎
- 学習センター(サポート校)
本校舎は地方にあり、頻繁に通えるような施設ではありません。
なので年に一度、スクーリングという形で単位取得のために泊まりで本校舎に行きます。 娘からすると修学旅行の感覚ですね。
遠い本校舎の代わりに都心には学習センターがあり、普段はそこに通っています。
僕の知る限り、このような体裁をとっている通信制高校は少なくない印象です。 多分、本校舎にあたる施設は学校施設としての認可が必要で、そんなに簡単に建てることができないのだと思います。
うちの娘の学校の場合、今回の法令改正で、本校舎が「卒業に必要な面接指導や試験を行う施設」となり、学習センターが「学習等支援施設」に分類されたわけですね。
しかし、やはり分かりませんね。
法令改正で施設の扱いが分類されたからと言って、なぜ学習等支援施設には通学定期が使えないというのでしょうか?
なぜこんな判断をしたのか?通学定期は他のお客に負担?JRの定義する公平性とはなんなのか
JRの回答によると、学習等支援施設に通学定期が使えない理由は下記の通りでした。
通学定期券に対する割引は、他の一般のお客さまのご負担により成り立っているものであることから、その対象については一定の公平性を確保した基準が必要であり、そのため当社が一つ一つの教育施設の教育内容等について審査するのは、公平性の確保や審査能力の点から適当ではないと考えており、「学校教育法」や「通信教育規程」など、国の法令等を基準として判断をさせていただいております。
要するに「通学定期は他の利用者の負担で成り立っているから、公平性を保つために法令に基づいて判断します」とのことらしいです。
良くわからないのですが、通学定期では採算が取れていないってことなのでしょうか? これは少し驚きましたね。
社会保険じゃあるまいし、通学定期が他のお客さんの負担で安く買えているなんて認識している人がどれだけいるのでしょう?
少なくとも僕の周りでは「通学定期が安く買えているのは、俺らが通勤定期を買っているからだぞ!」なんて言っている人はいません。
それに、たとえば小学生以下の運賃はそもそも半額になっていますが、これも他のお客様の負担で成り立っていると言うのでしょうか?
もし子供の体が小さいから燃料費がかからないと言うのであれば体重測って運賃決める必要がありそうです。
あまり納得感がなく、また理解ができません。
また、もうひとつ気になるのは、この法令改正の時期です。
2022年(令和4年)4月1日に文部科学省が法令改正を実施し…
とあります。
法令は2025年に改正されたわけではなく、3年前に改正されています。 何を今更になって、法令改正を理由に公平性がーなんて言っているのでしょうか?
この説明も一切ありません。
こうなってくると、ただ「法令を理由にして利益を増やす方法を考えちゃいました!」ってだけに見えてきますよ。
もちろん、JRも民営化された営利企業なので、利益が必要なのは理解できます。 物価が上昇する中で、電車賃は簡単に値上げができないでしょうから、その中でなんとか利益を確保する方法を考えるのは企業として正しいことです。
しかし、通信制高校に通う娘を持つ身としては、通信制高校の学生だけに負担を強いるのは勘弁してほしいわけです。
通信制高校を狙い撃ちすれば対象者が少ないから大きな問題にならず、今回のように実施直前にしれっと通知しても納得させられると考えていたのでしょうか?
それこそ公平性に欠けていませんかね?
と、JRからの返信に憤っていたところで、なんと追加で新しいメールが届きました。
これはこれで驚きの内容でした。
まさかの実施延期!◆JR東日本より追加でお知らせいたします◆
それは3月の最終日。
「明日から通学定期使えなくなるから払い戻ししろよ!」とされている状況で、JRから下記のメールが届きました。
一旦、ほぼ全文をコピペします。
◆JR東日本より追加でお知らせいたします◆
いつもJR東日本ならびにJR東日本ホームページをご利用いただきましてありがとうございます。
新年度間際のご連絡、失礼いたします。 過日、弊社より回答させていただきました、通信制高校の通学定期券等に関する内容についてお知らせしたいことがございまして、メールをさせていただきました。
弊社では通信制高校の通学定期券等の取扱いについて、2022年に文部科学省令である「高等学校通信教育規程」が一部改正されたことに伴い、本年4月1日より、弊社約款である「東日本旅客鉄道株式会社学校及び救護施設指定取扱規則」を改め、指定学校の学生・生徒が卒業単位取得のために必要な「面接指導等実施施設」に通所する場合は通学定期券等の発売対象とさせていただき、「学習等支援施設」への通所は対象外とする制度改正を予定しておりました。
また通学定期券等に対する割引が、広く一般のお客さまのご負担により成り立っているものであるため、公平性の確保の観点から、指定学校の学生・生徒が卒業単位に必要な施設に通所する場合を通学定期券等の発売対象としており、また、その基準は法令等の定めに依ることとしています。今回の改正はこの観点に則ったものであり、弊社として変わるものではありません。
一方で、2022年4月(令和4年)施行の文部科学省令改正をJRが知得していなかったために、上記の考え方では本来対象とならない「学習等支援施設」に通所される方に通学定期券等を発売していたことや、本改正を円滑に行うためには、学校・生徒・保護者の皆様への十分な周知が必要であることから、今般の通学定期券の取扱変更につきましては実施日を延期し、2026年3月31日までを期限として当面の間、これまで対象としていた「学習等支援施設」に通所する場合は、従前同様に通学定期券等の発売対象とすることといたしましたのでお知らせいたします。
詳細について、以下の弊社ホームページ内のお知らせもご参照ください。 https://www.jreast.co.jp/info/2024/20250328_ho01.pdf
新年度間際の急遽の変更となり、お客さまにはご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。 今後も、みなさまに愛され、親しまれるJR東日本をめざしてまいりますので、引き続きご愛顧賜りますようよろしくお願い申し上げます。
今回も長文です。 が、順に読み解いていきましょう。
新年度間際のご連絡、失礼いたします。
まぁ間際も間際、前日ですよ。
通学定期券等に対する割引が、広く一般のお客さまのご負担により成り立っているものであるため、公平性の確保の観点から、指定学校の学生・生徒が卒業単位に必要な施設に通所する場合を通学定期券等の発売対象としており、また、その基準は法令等の定めに依ることとしています。 今回の改正はこの観点に則ったものであり、弊社として変わるものではありません。
わざわざ長文で同じ話をして、前述の判断が間違っていないことを前置きしています。
が、本題は次です。
一方で、2022年4月(令和4年)施行の文部科学省令改正をJRが知得していなかったために、上記の考え方では本来対象とならない「学習等支援施設」に通所される方に通学定期券等を発売していたことや、本改正を円滑に行うためには、学校・生徒・保護者の皆様への十分な周知が必要であることから、今般の通学定期券の取扱変更につきましては実施日を延期し、2026年3月31日までを期限として当面の間、これまで対象としていた「学習等支援施設」に通所する場合は、従前同様に通学定期券等の発売対象とすることといたしましたのでお知らせいたします。
おお!変更を延期とあります!
来年度末まで通学定期を使えるようにしてくれるらしいです。
これはありがたい話ですね! 土壇場でこの判断はきっと勇気の要ったことでしょう。 シンプルにJRの偉い人を見直しました。
しかし、ちよっと気になる内容が含まれていますね。
判断を変更した理由です。
本改正を円滑に行うためには、学校・生徒・保護者の皆様への十分な周知が必要であることから
これは、分かりやすいです。 4月からの変更を3月に通知するなんて、どう考えても雑すぎますからね。
ただ、こっちが気になります。
一方で、2022年4月(令和4年)施行の文部科学省令改正をJRが知得していなかったために、上記の考え方では本来対象とならない「学習等支援施設」に通所される方に通学定期券等を発売していたこと
僕が疑問に思っていた、なぜ2022年に実施された法令改正を理由にして、今更こんなことを言い出したのか?の答えが書いてありました。
「知得していなかった」なんて難しい言葉使ってますが、
単純に知らなかったらしいです。
「本来は初めから学習等支援施設は通学定期の対象じゃなかったけど、知らなかったから間違って発行してしまっていたんだ!」
って書いてありますからね。 これは色々と衝撃的な事実でした。 JRくらいの企業でもそんなことがあるんですね。
ちなみに僕の娘はもう今年から3年生なので、来年まで使えるなら通学定期で逃げ切ることができそうです。
とはいえ、このご時世に子供のいる家庭の負担を増やす判断は、やはり時代錯誤のように思います。
JRには延期ではなく、判断の見直しを検討してもらいたいなと思いますね。