どうも、ドラえもんの映画が大好きな僕です。
コロコロコミックが「やりすぎ!!!イタズラくん」でチンギスハンをちんちん扱いしたということで、朝青龍はじめモンゴルの方に怒られたと話題になってましたが。
僕思い出しちゃったんですよね。
大長編ドラえもんでチンギスハンをヒトラー扱いしてた話があったことを。
大長編ドラえもんってドラえもん映画の原作になっている漫画ですが、連載はコロコロコミックなんですよね。
あ、またコロコロコミックだ!
ってなりました。
モンゴルの英雄チンギスハン。
それに対してヒトラーは間違いなく悪い独裁者です。
モンゴルの方はチンギスハンを「ちんちん」と言われて怒ってらっしゃるわけで、
もしも、この悪い独裁者であるヒトラー扱いされようものなら、
これも間違いなくお怒りになると思いました。
ましてはそれが、藤子・F・不二雄先生の国民的漫画であるドラえもんでとなったら、
これは一大事なんじゃないでしょうか?
はい、その問題作がこちらです。
大長編ドラえもん
のび太とブリキの迷宮(ラビリンス)
この敵側のボスの名前が、
ナポギストラー博士です。
このナポギストラー博士、人類をみんな収容所送りにして、戦線が不利になると収容所ごと空爆して人類を絶滅させようとします。
映画ドラえもんの敵の中でもなかなかの悪です。
分かりますか?
このナポギストラー博士。
ナポレオン
チンギスハン
ヒトラー
を、もじってます。
そう、チンギスハンに、ナポレオンとヒトラーを混ぜてます。
「天皇にチンチン書いても日本人は怒らないのか?」と言っている人がいましたが、
悪役の名前が、昭和天皇(ヒロヒト)をもじって、
ヒロヒトラー
なんて漫画があったら、怒る人たちでてきますよね?
怒るまでいかずとも嫌な気持ちになる日本人は多そうです。
しかし。
なぜ藤子・F・不二雄先生ほどの漫画家がナポレオン、チンギスハン、ヒトラーをひとつのキャラにしようと考えたのか。
ヒトラーは完全な悪ですが、ナポレオンやチンギスハンは英雄扱いされるような人です。
これは単純にゴロが良かったとかではありません。
と、いうのも大長編ドラえもんには何らかのメッセージが含まれることが多いのです。
(たとえば、この前作の「のび太の雲の王国」では、核抑止力の脆さが描かれています。)
そして実は、この「のび太とブリキの迷宮」は、大長編ドラえもんの中でも珍しく後味が良くないラストだったりします。
なんと最終的にドラえもん達がロボット達を民間ロボット含めて大虐殺するのです。
しかもウィルス兵器使ってです。
というわけで、いったんあらすじを紹介させてください。(ネタバレ含みます)
ロボットがなんでもやってくれるようになったチャモチャ星では人間の手足が衰えてしまってまともに動くことができなくなりつつありました。
ブリーキン公爵はロボット依存を無くすように王様に請願しますが聞き入れてもらえないため、独自にロボットを絶滅させる計画を立てます。
しかし、それから間もなくロボット達がクーデターを起こし、ブリーキン公爵は収容所に捕らえられます。
ただ、ブリーキン公爵は捕らえられる前にロボット達を絶滅させることのできるウィルス兵器をすでに完成させていました。
ブリーキン公爵の息子サピオはこの兵器を回収してロボット達を絶滅させるために協力者を探します。
そしてかなり強引にのび太達を仲間にします。
ロボットたちはそれまで支配者だった人間を収容所に送り、町で普通に暮らしています。
公園もあれば、レストランもテレビもあります。
が、のび太達は容赦なくロボット達に攻撃をはじめます。あろうことかサンタクロースにプレゼントされたオモチャを兵器に転用してロボット達を無差別に破壊し始めます。
「キャー」「ヒー」と悲鳴をあげて逃げていくロボット達を見れば、それが非戦闘員の民間ロボットであることが分かります。
当然ロボット軍が反撃に出ます。
そもそものび太達が攻撃を仕掛けたのは民間ロボットの住む居住区であり、兵器工場でも軍事施設でもありません。
「ウハハハ、ゆかいゆかい!」と町を破壊するジャイアンとスネ夫。
スネ夫が大暴れして壊しているのは非戦闘員の民間ロボット達です。
そして、のび太達はウィルス兵器をナポギストラーに感染させることに成功します。
感染したナポギストラーから部下のロボット達にウィルスは感染していきます。
ウィルス感染とオモチャの兵器によってロボットの町は火の海に変わります。
ブリーキン公爵はロボット達の絶滅を成功させました。そして人間が人間らしく生きていける社会を作ると話して物語は終わります。
お手伝い?
ドラえもん、お前それどういう気持ちで言ってるんだ?
ロボットがいたら人間がダメになるからロボット達を絶滅させようって、
ナポギストラーがヒトラーならば、
ブリーキン公爵はポルポトかなにかかな?
と、ツッコミたくなります。
ちなみに同じく大長編ドラえもん「のび太と鉄人兵団」でもロボット達と戦いますが、あれは完全に兵士ロボット達の地球侵略であり、そこに民間ロボットはいませんでした。
あの鉄人兵団のリルルは女の子の形をしていますが、あくまで戦闘員(士官)でした。
のび太は女の子の姿をしていたら撃てないのに、ロボットの形なら非戦闘員でも容赦なく壊せるということになります。
もしサピオの協力者がのび太やドラえもんではなく、ただの21世紀の地球人だったら、ナポギストラー軍が勝利したでしょう。
するとナポギストラーは、ロボット達の英雄となったはずです。
働かない人間達から奴隷のように扱われるロボットを解放して、さらにロボット絶滅計画を未然に防げたということになるわけですから、間違いなく英雄です。
そう、このナポギストラーも英雄になり得たのです。
ナポレオンやチンギスハンは戦いに勝ったから英雄となった。
逆に負ければヒトラーのような扱いになった可能性もあった。
「のび太とブリキの迷宮」にはそんなメッセージが込められていたのかもしれない、と感じずにはいられません。
子供の頃読んだときは気がつきませんでした。
おもちゃを兵器に転用したり、ウィルス感染すると歌いだして壊れるというコミカルさで隠されていたからかもしれません。
でも大人になって読むとどこかに残る違和感。
空襲や街が燃えるシーンの背景が悲惨な戦争のそれであることに気がつくのです。
最後になりますが、藤子・F・不二雄先生はドラえもんを通してこんなことを言ってました。
うん。ドラえもんは深い。
———
この記事がパクりと言われたので反論してみました。
大長編ドラえもん13 のび太とブリキの迷宮【電子書籍】[ 藤子・F・不二雄 ]
|
大長編ドラえもん12 のび太と雲の王国【電子書籍】[ 藤子・F・不二雄 ]
|
大長編ドラえもん7 のび太と鉄人兵団 (てんとう虫コミックス/大長編ドラえもん) [ 藤子・F・不二雄 ]
|